〜繋がりは止まらナイ
2006年3月10日 遙か 2次創作繋がりは止まらナイ
景時誕生日記念。
3月5日
私たちは今は離れているけれども、ほら、こんなにも繋がっている。
「望美、おはよう」
「おはよう」
日常に戻った私を待っていたのは定期テスト、クリスマス、正月‥私はそんな日常の中に埋まってしまわないように…生きる。
あっちの世界で龍神の神子は、こちらでは只の高校二年生で、普通の存在、ありきたり。
「今日でテストも終りだね。清々するな〜☆」
「うん、そうだね。」
現代に帰ってから今までは日常に戻るだけで精一杯だった。けれども、忙しさから解放されて忘れていた気持が蘇る―それは新しい気持かもしれない。想うのは寂しさと彼のこと、
大丈夫かな?
‥もしかしたら私のことを忘れているかもしれない、頼朝に幽閉されたかもしれない―最悪の事態が起きたかもしれない。だけど私はもう普通の高校生だから、待つことしか出来ない。
私はいつまで待ったら良いのだろう、そんな答えは出なくて―テストが終って気分が晴れ晴れするどころか、余計なことを考えてしまって沈むばかり‥
少しでもと気分を明るくするために私は着替えもしないで近所に散歩に出た。
段々と暖かくなる空気は、花の蕾を綻ばせ、どこかに咲いた梅の花の香がふぁりと薫る。
「‥梅か」
私が彼の為に作ったえび香、こっそりと私の分も作った。今はそれだけが私をあちらに結ぶ只一つの手掛りなんだ。それはあちらと変わらない香りを放ち――
「‥ない」
もう、強い香りは放たない。微かな今にも消えそうな、淡い細やかな梅の香、それはまるで私を否定するようで…希望が薄いことを暗示しているみたいだった。
―こない‥のかな?
「―っ」
不意に浮かんだその想いを私は振り払うように、梅の香から逃げるように走り出す。
〜♪
聴きなれた電子音、私は半ば反射的に携帯を取る。そして取ったところで、少し後悔。
こんな気持ちで・・・・電話なんか取りたくなかった。
「もしもし、」
『望美?なぁ、ひな人形ってもうしまう季節か?』
声の主は将臣くん、
「うん―今日って3月5日―」
ぁ、れ?確か…
『やっぱな、オレが正しいって行ったろ。』
電話から離れて将臣くんが誰かと話す声が聴こえる。
「‥」
…そうだよね、今日は彼の―駄目だよ‥駄目、私考えちゃあ駄目、
きっともう、無理なんだよ―
逢いたい。
あなたに
ねぇ、今度こそ約束を守ってくれるよね‥辛いよ、待ってるのって私は信じるだけしかできないなんて無力すぎるよ。
ふと眼頭が熱くなる。春、それは彼の好きな季節、私は彼が好き、
彼の好きな…梅。
春は私を彼でいっぱいにしようとする。全てが彼と繋がって、想い
出してしまう。
何で視界が霞むのかな?私涙が出てるのかな―そんな弱い私は嫌いだ
よ。
ドンッッ
不意の衝撃、油断しきっていた私ははね飛ばされて―
「だ、大丈夫??」
「…す、すみません‥」
そう、泣いた顔を人に見られたくなくて
俯いて謝った私の泪を拭ったのは―私とぶつかった人。
顔をあげるとそこには逢いたかった人が居た。
「…望美ちゃん、泣いてたんだね‥」
「‥とき…さん」
上手く声が出ない。眼の前の彼は本当なのかさえ判らない。
「あれー将臣くんに会ったから彼が伝えてくれるって行ってたのに
な…?でんわって便利だよね〜」
頭を掻きながら彼は言う。優しい声、忘れることのなかったその姿
。
彼はポケットから一つの古ぼけた香袋を出して、私が手に持ってい
た揃いのそれに重ね、言う。
「此が導いてくれたのかな?オレを望美ちゃんに…望美ちゃん?」
「待ってました‥‥ずっと――」
人の波の中、私は彼に抱きつく、流れ出る嬉し涙を止めようとせず
に―つよく、もう二度と離れないように。
そして、私が言いたかった言葉を彼に、
「お誕生日、おめでとうございます。」
END
景時誕生日記念。
3月5日
私たちは今は離れているけれども、ほら、こんなにも繋がっている。
「望美、おはよう」
「おはよう」
日常に戻った私を待っていたのは定期テスト、クリスマス、正月‥私はそんな日常の中に埋まってしまわないように…生きる。
あっちの世界で龍神の神子は、こちらでは只の高校二年生で、普通の存在、ありきたり。
「今日でテストも終りだね。清々するな〜☆」
「うん、そうだね。」
現代に帰ってから今までは日常に戻るだけで精一杯だった。けれども、忙しさから解放されて忘れていた気持が蘇る―それは新しい気持かもしれない。想うのは寂しさと彼のこと、
大丈夫かな?
‥もしかしたら私のことを忘れているかもしれない、頼朝に幽閉されたかもしれない―最悪の事態が起きたかもしれない。だけど私はもう普通の高校生だから、待つことしか出来ない。
私はいつまで待ったら良いのだろう、そんな答えは出なくて―テストが終って気分が晴れ晴れするどころか、余計なことを考えてしまって沈むばかり‥
少しでもと気分を明るくするために私は着替えもしないで近所に散歩に出た。
段々と暖かくなる空気は、花の蕾を綻ばせ、どこかに咲いた梅の花の香がふぁりと薫る。
「‥梅か」
私が彼の為に作ったえび香、こっそりと私の分も作った。今はそれだけが私をあちらに結ぶ只一つの手掛りなんだ。それはあちらと変わらない香りを放ち――
「‥ない」
もう、強い香りは放たない。微かな今にも消えそうな、淡い細やかな梅の香、それはまるで私を否定するようで…希望が薄いことを暗示しているみたいだった。
―こない‥のかな?
「―っ」
不意に浮かんだその想いを私は振り払うように、梅の香から逃げるように走り出す。
〜♪
聴きなれた電子音、私は半ば反射的に携帯を取る。そして取ったところで、少し後悔。
こんな気持ちで・・・・電話なんか取りたくなかった。
「もしもし、」
『望美?なぁ、ひな人形ってもうしまう季節か?』
声の主は将臣くん、
「うん―今日って3月5日―」
ぁ、れ?確か…
『やっぱな、オレが正しいって行ったろ。』
電話から離れて将臣くんが誰かと話す声が聴こえる。
「‥」
…そうだよね、今日は彼の―駄目だよ‥駄目、私考えちゃあ駄目、
きっともう、無理なんだよ―
逢いたい。
あなたに
ねぇ、今度こそ約束を守ってくれるよね‥辛いよ、待ってるのって私は信じるだけしかできないなんて無力すぎるよ。
ふと眼頭が熱くなる。春、それは彼の好きな季節、私は彼が好き、
彼の好きな…梅。
春は私を彼でいっぱいにしようとする。全てが彼と繋がって、想い
出してしまう。
何で視界が霞むのかな?私涙が出てるのかな―そんな弱い私は嫌いだ
よ。
ドンッッ
不意の衝撃、油断しきっていた私ははね飛ばされて―
「だ、大丈夫??」
「…す、すみません‥」
そう、泣いた顔を人に見られたくなくて
俯いて謝った私の泪を拭ったのは―私とぶつかった人。
顔をあげるとそこには逢いたかった人が居た。
「…望美ちゃん、泣いてたんだね‥」
「‥とき…さん」
上手く声が出ない。眼の前の彼は本当なのかさえ判らない。
「あれー将臣くんに会ったから彼が伝えてくれるって行ってたのに
な…?でんわって便利だよね〜」
頭を掻きながら彼は言う。優しい声、忘れることのなかったその姿
。
彼はポケットから一つの古ぼけた香袋を出して、私が手に持ってい
た揃いのそれに重ね、言う。
「此が導いてくれたのかな?オレを望美ちゃんに…望美ちゃん?」
「待ってました‥‥ずっと――」
人の波の中、私は彼に抱きつく、流れ出る嬉し涙を止めようとせず
に―つよく、もう二度と離れないように。
そして、私が言いたかった言葉を彼に、
「お誕生日、おめでとうございます。」
END
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