「上手いな・・」
「そんなことは無い」
「そうか?オレなんかそんな風には舞えないけど・・」


舞〜
「こことても綺麗で気に入ったから・・何度も来たくなっちゃって・・ごめんなさい」
「別にいいですよ・・息抜きも時には必要ですから」
花の窟は暑い中でも比較的涼しい場所で、休むには最適。
前にここに来たときは私が皆に言われて舞を舞ったけれど・・

他の人も舞えるのかな?
ぱっと見で譲君駄目、リズ先生駄目、将臣君もだめ・・・
九郎さんも無理そう・・
だとしたら、景時さんも無理かな??
弁慶さんはどうかな?器用そうだからできるかも・・
敦盛さんはなんか当たり前のように出来るよね・・
ヒノエ君 ・・

「舞、見たいな・・」
ぼそりと私は呟く、
九郎さんは先を急ぎたいのか、落ち着かない様子で叫ぶように言う。
「そんなことしている暇は無い!!行くぞ、」

口に出したら欲は増すばかりで・・
「え〜でもさ、私いつも舞ってばかりだからほかの人が舞ってるところも見たい〜」
「たまにはいいじゃねーか、舞ってやれ。」と将臣君
「まったく兄さんは〜」と言いながら眼鏡をかけなおすは譲君
「オレは野郎が舞ってるの見るのは厭だぜ。どうせならやっぱ綺麗な姫君じゃないとな。」と言うはヒノエ君・・
その隣には敦盛さん、リズ先生
涼しい風が私たちを優しくなでる。
「ぁ!」

「私、ヒノエ君の舞が見てみたい。」
「「は?」」
何人かが不思議そうに声を上げるが気にしない。
そんな私の言動に一番驚いているのは当のヒノエ君。

「みたい・・・・だめ?」
「見たってそんな面白くないよ・・・神子姫様の舞のほうが・・・・・・むぐっ」
呆れ顔で言い出したヒノエ君は途中で弁慶さんの薙刀に・・叩かれる。
もちろん刃の方ではないけれど・・ぁ痛そう。

「たまには良いんじゃないですか?それに、笛もいますしね。」
そうしてブリザードのような瞳(笑)で敦盛さんを見る。

「あ・・ああ、たまにはヒノエの舞でも良いんじゃないか、」
そしてすばやく敦盛さんは笛を取り出した。
怖いのか?
「〜弁慶・・・・・・・」



「出し惜しみ・・・・・・・そんなことをするような舞なんですか?それとも?」
止めにもなりそうな一言。
その一言でヒノエ君の表情が変わる。と言っても横腹を押さえながら・・だけれども。

「やればいいんだろう・・やれば・・」

「やった。」

***

「すごい!!」
それが私の第一感想。赤い扇を力強く、だけれどもどこか優しく扇を反す。扇の色は夕日の色彩、それを海の波のように寄せては帰る・・・・・・・その舞に風さえも動きを留める。

「・・・・同じ舞なはずなのに・・・・」
雰囲気がまったく違う、ぜんぜん違う。
さっきまで横腹を押さえていたあの人とはまったく別人のよう。
真剣だ・・・・・

「違うわね・・望美の舞とは・・」
「うん。」

「そうですね〜望美さんの舞はもっと清らかで美しいですよ。」
「・・そうかな〜?」

いつの間にか笛の音は止まっていた。

一筋の風が駆け抜ける。

「――お気に召しましたか?神子姫様。」



「うん。」

END

後書

なんていうかごめんなさいごめんなさい・・・
舞を舞うヒノエ君が見たかっただけなんです。
後は薙刀で突っつく弁が書きたくなったんです。
なんていうか誕生日前の日にごめんなさい・・・・。

後日談としては
薙刀で突っつかれたところは真っ赤なあざとなったそうです。

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