雰囲気としては、知盛ルート攻略後ED後といった感じ。
勉強中につらつら書いた物。


AWOL =無断欠勤=

「またか、」

待ち合わせをしていた時間から約1時間、私はわざといつもより遅れて待ち合わせ場所に行った。ある意味私の中での小さな賭け。

でも、其れでもいない。
だっていつもいない。
結局私が迎えに行くんだ。
それで夢に描くデートなんか出来やしない。


「・・・・・なんで来ないの?」
猫のように丸まっている布団を剥ぎ取って私は叫ぶように言い放つ。まだこの世界になれていなくて、しかも低血圧な奴は、長い手足をばたんと投げ出し呟く。
「・・・・・・・1時間・・半か・・」
ここはアパートの一室、家具らしい家具なんて部屋の中にはありっこない。
布団、ちゃぶ台それだけだ。
そんなのが彼の住居。

奴のそんなぼそりと言う一言で私は気づく。
「っ・・・もしかして・・」
彼の格好をよく見てみると、パジャマではなく・・
「布団の中で待ってたわけ?!・・待ち合わせ場所指定したのって・・・」
「・俺・・だな」
「馬鹿。」
きっと、外に出るのが億劫だったのだろう。どうせ私が来るしとかおもって。あきれ果ててため息も出ない。

この様子じゃ、昼どころか朝ごはんも未だ。
私は、ゴムで髪の毛を無造作に纏め上げた。折角巻いてきたのに・・そしてキッチンに立つ。
「・・・・そう、怒るなよ・・神子殿」
のそりと起き上がった彼の顔は満足げ、ああいつもの事ながらいやになる。
休日、おしゃれをした私がするのは買出し、片付け、料理。
「・・・・・怒るに決まってんじゃん・・・・・だって」
何で私はこの人を信用しちゃうんだろう。
・・ジュ・・
とあっためたフライパンに涙が落ちて、蒸発する。

・・ぇ?

それとほぼ同時に胸元につめたい感触。
知盛の暖まった指が触れる。
「さて・・神子殿の・・お気に召すかな?」
すぐ隣には鈍い鉛色の髪。そして端正な横顔。

あっけにとられる私を見て、にやりと笑う。

・・ずるい。
    ずるすぎる。
私は、彼のこんな表情に、不意打ちに弱いんだ。

赤く染まりそうな顔を私は精一杯引き締める。

「料理の邪魔、目玉焼き、焦がしちゃうよ・・」

耳はすっかり赤くなってることにも気がつかなかった。

「・・クッ・・それは困った。」

首に光るモチーフは赤い椿。

end

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