存在〜Existence〜彼の場合

眩しい笑顔で君が笑う。
それを見るだけで俺は舞い上がりそうになる。
君が走って来る。
それだけで倖せになれるんだ。

「景時さん」

名前を呼んでくれるだけで、何でもできる気がする。

「景時さん?聞いてますか?」

「ごめん。考え事してた。なぁに、望美ちゃん」

「‥お守りが欲しいんです。」

「へ?」

真っ赤な顔してうつ向く、その表情が本当に可愛らしくて。

「なんか―お守りになるモノ、景時サンが身に付けてるモノが良い。」

言いにくそうに、口篭りながら言う。

「何で?」

「だって―明日は戦じゃないですか。」

「―死んじゃうかも知れないんですよ。」

心なしか声が涙声の様に聞こえた。繋いだ手は小刻に震えているような気がした。

―あくまでも雰囲気だけど。

「―だいじょーぶ、俺は死なないよ。望美ちゃん」

「違うっ…私が死ぬかも‥」

さみしげに言う。

「‥離れ…離れになるかも‥」

鳴咽、そして、涙が落ちる音
隣を見ると涙の望美ちゃん
今まで彼女の涙は見たことがなかった。だから、驚きと同時に、強い望美ちゃんにも幼い感情が有るんだと感じた。

「‥じゃあ、これをあげる。」

俺は首にしていた首飾り―と言っても地味で無骨なものだが―を首にかけた。

「それが―君のお守り‥だよ。」

そう言ってあげると、望美ちゃんは落ち着いたように綻んだ笑顔を浮かべた。

只の気休なのに

「…ありがとう」

か細い声の不意打ち。
同時に浮かべた笑顔は余りにも無邪気で―

「…景時さん‥?」

「望美ちゃん…可愛すぎ。」

「ふぇ、?」

ぎゅっと抱き寄せると、梅花の香がした。彼女の耳が真っ赤に染まるのも気に留めないで、強く抱き締めた。

今だけ、なんだ。


† †

息が止まりそうだった。私は大きな手に頭を抱えられて―こんなに大きい手なんだ。

「っ時さん‥」

暖かい手なんだ。
この先の運命は私にはわからない。
私が出来るのは願うこと祈ることだけ。

「‥本当に死なないで…ください。」

涙は止まりそうにない。
この人が本当に助かるまでは。

END

後書
SSSとでも銘打っておきましょうか。
景時の場合ですorz
一番最初は弁慶のがあるんですが、
それは何処かにやってしまったので(笑)
私がもしも気が向いたら、
他の人のも書いてみます・・かな?
此れには一応私が自分で定めた決まりがありまして・・
携帯改行なしで750字以内を目的にしています。
つまり→SS  1000文字を超える
    SSS  999文字まで
ってなわけですwww
コメント機能がついたみたいですね★

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