何で・・・なんで今更こんな事を思い出すのだろうか。
私にはその理由がわからなくて、混乱・・する。

―京、嵐山
多くの自然が私を呼び続ける。―助けてくれ―と、その悲痛そうな声は肩に揃えられたの髪を舞わせる。
「綺麗…」
「何がだ?此土地も穢れている―。何も変わらない。」
「うん―確かに、そうかも(笑)」
私の素朴な呟きは風に、彼にかき消される。子供の様な無垢な彼に。
不意に私は思う、―嵐山、嵐が吹いたのだろう、遙か昔。
それ故に嵐山・・・きちんと・・
「泰明さん‥ものには意味があるんですよ」
私はからかうように笑いを含めて言う。
判っているの?と言う意味を中にこめながら。
「知っている。」
次は言いにくい事を言う。そう決心して私は言葉を紡ぐ。
「‥私の名前にも意味があるんです。」
「‥そうか。」
「あかねって‥」
私と彼の距離は約1?、近いようで遠い距離―心のキョリ
「…って意味があって、私の親はなづけたんですよ。泰明サンの名前にはどんな意味があるんですか?」
一歩、前へと足を踏み出して彼の顔を見る。端正な顔立ち、左右違
う色の瞳―
「特に意味はない。私は神子の剣であり盾だ。それ以上の意味も以下の意味もない。神子の八葉だ。」
その強い瞳は子供の様で、無邪気。
「泰明サンには―それだけの意味じゃなくて、もっと、違う意味があるんです。」
いけない、と思いつつどうしても声は荒くなる。

伝えなければ―
私の気持ち。

木の葉の翳が私を、彼を優しく撫でる。ふわりふありと、おぼろ気に―

翳は―
「何故神子は、そこまで私のことに必死になるのだ。私は虚だ、神子と御師匠が居なければ何もできない存在だ。」
「―違う。」
強いむかい風が吹いた。私の頬を撫でる、髪がなびく。
木々の葉がさらさら鳴って―声はかき消されそうになる。

それにあがらう私は惨めで。
「そんな事はない。」
「―じゃあ、それじゃあ私が泰明さんの名前意味を付ける―そしたらそんな事言わない?」
一生懸命食いかかる私の様に、陽のヒカリは強さを増す。
私はもがく、もっと彼と共に居たいから。
「神子が言うのならば」
「じゃあ―泰明さん。まず、泰って字からですね?安泰の泰の字ですよね?」
「ぁあ、神子」
私は少しだけ微笑った。彼は妙に素直で可愛らしくて、子供みたい。優しげな返答。
「―そうだなぁ、いっぱい意味言葉にはあるけれど、"安心できること"かなぁ?」
私は遙か上空を見上げて言った。空には鳥が一匹、二匹、気持ちよさそうに空を翔んでいた。
「何故だ。」
泰明さんは不思議そうに首を傾げる。
「だってやっぱり―私は泰明さんと居ると落ち着くから…」
耳が、頬が熱くなるのを抑えきれなくて、なんかもどかしくて彼に背を向けた。
「で・でねっ、次は明だね。明るくなるって言う意味、"物事を見分ける力"泰明さんにはその力有るよね…。」

背を向けたまま私は顔が綻ぶ。

頬に冷たい感触、
「神子、暑いのか?」

―優しい両手の不意打ち、しかも後ろから。
「こうすれば涼しいだろう、神子の顔はお前の名のように茜色だ。そんなに暑いか?」
彼の冷たい両手は私の頬に、私の心臓は跳ね上がる。まるで太陽にでも届きそうなくらいに。

季節は夏になりかけ、心地良い陽気である。
「ちっ、違います‥」
「では、何故、」
問い詰めるような口調、意味が解らないという口ぶり―それは本当に彼らしくて、
「―秘密です。」
「何故だ。」
「泰明さんが解ったら、答えをいいます。」

―季節は早夏、暖かい日溜まりの下で私は―まるで季節は夏のように暑くなる。私の後ろには彼、私は少し緊張しながら、想いをすこしづつ言葉にしていく。
「解らなかったら、降参してくださいね。」
私は彼の手を優しくほどいて、向き合って言った。

困ったように眉を顰めた彼の顔。
風にやわらかく溶け入る緑の髪。

―その答えを泰明さんから私が聞くのはもう少し後の事になる。それと―彼は本当はとても幼いことを私が知るのももう少し後。

倖せな日常を過ごしていたんだ私たちは、
風は鳴り、翳が撫でる―龍神が守る此美しい世界の中で。

私は幸福だったんだ。

私は彼を―皆を守りたい。
皆が幸福なのがいい。

だからお願い―龍神、力を貸して。
この美しい世界を守りたいんだ。

―私はどうなっても良いから。



後書。
なんだか神子が可愛くない。
やっくんがリズよりなきがする。
しかし・・また駄文やっちゃったよ。
弦月さまごめんなさい此れが限界ですよ。
彼しゃべらないし、それではでは・・・

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