花が咲き乱れる中
私は、立っていた。

彼女は凛とした立ち姿。
それがとても美しくて。

後ろでさわりと草がなる音がする。
気がついているのに
気がついていない振りをする私。

彼女の髪の毛は
紫色で綺麗だった。

華霧―――限り

「望美ちゃん。」

「なぁに?」

私は柔らかに振り返って景時さんを見ると
ふわり、私の頭にかかる。

「ふふ・・花飾りだね。」

「うん。」

柔らかに、そして、嬉しそうに自然に彼は笑いながら、私の前に座る。

「望美ちゃんのために頑張って作ったんだよ〜」

「・・・判るよ。私には・・・ね?」

私は彼にそう笑いかける。
少しだけ不恰好な蓮華の花飾り。
それを見ればすぐに・・ね。

「望美ちゃん・・・」

「ん?」

「綺麗だよ。」

其の瞳は真剣で、私はそれに吃驚した。
いつもの彼じゃないようだったから。私は少し身じろぎした。
景時さんの真剣な瞳に・・・・・・・

蓮華、白つめ草、小さな花々がいっぱい咲いている中、私は逃げられない。
まるで其の瞳に捕らえられてしまったように。

「望美ちゃん」

私の名前を呼ぶ声に

「なんでこんなオレを選んだの?帰らなくてよかったの?」

彼に質問はいつも少しずれていて、今更の事を言う。

「当たり前だよ。私は貴方が好きなの。だから残った。それ以外に理由なんてないよ。」

「ありがとう。望美ちゃん」

確かめたかったんだと思う、私も、言葉にしたかったんだと思う。

言葉にしないと・・伝わらないことってよくあるから。
そっと
華の中で景時さんは私の左手を掴んだ。
そして言う。

「やっぱ、女の子の手って小さいんだね〜骨董品みたいだ。」

本当の私の手は刀を持つ所為で肉刺だらけで、日にも当たっているから、焼けていた。
それでも景時さんは言う。

「それで・・・やわらかいね。」

何かを誤魔化すように私の左手の甲に軽く、くちづけをした。
顔が赤くなる。

「望美ちゃんの世界には、結婚指輪って言うものがあるんだよね?前、話してくれたよね〜?」

「・・・はい」

「じゃあ・・・」

そう言って、彼は私の指に何かをはめた。
金属の感触。

「・・・ぇ?」

私はそれに驚く、

「・・指輪・・・・・・・・・?」

「ぇ・・・うん、結婚指輪のつもり・・な、なんか違った??」

それは綺麗な細工だった。
少し細身で、小さな桃色の石が付いていた。

「なんか違ってたら、造りなおすよ・・もしかして・・指輪きつい??」

「ううん・・・・・違う。」

私は必死に首を横に振った。そして、搾り出すように言った。

「嬉し・・・くて・・私」

「オレは望美ちゃんのためならなんでもやるよ〜」

優しく、彼はもう一度私の手の甲にくちづけを・・した。
今度はさっきより何だか恥ずかしくて、現実味があって・・
顔が赤くなった。

「もうっっっ景時さん・・・・・・・・・」

私はずっとさっきから景時さんに手を握られていて、私に手の指には綺麗な指輪が付いていて・・

「望美ちゃん・・・結婚してくれない?」

私を見て、私は景時さんを見る――――真剣な眼差しで

・・・なんで、この人は今更こんな事を言うのだろう。
私はもう、この世界に残った時点で全て決めたのに・・な?

「うん・・・そうだね。」

私は言う、言葉にしなきゃいけない事を、霧の中に消えないように。

「私も・・・景時さんと結婚したい。一緒にいっぱいの洗濯物を庭に干して、縁側でのんびりしたい。」

「ほんとう??望美ちゃんっっ??」

「こんなところで嘘言ってどうするの?」

くすっと私は笑った。

急にそらがふわっと浮く、私は急に抱き上げられた。

「わぁっっ」

「やったーー!!ありがとっっ望美ちゃん〜。」

長身の景時さんに抱き上げられて視界が広がる。
脇で私を支える手が少しくすぐったくって、笑った。
私の指には指輪が光る。
なんてこの人は無邪気なんだろう。素直に優しさを表現するのだろう。

「望美ちゃん??何かオレの顔についてる?」

不思議そうに彼は見た。まるで高い高いをされているような格好の私を。

「ううん??ただ、幸せだなぁって思ったのとくすぐったいな〜ぁ」

クスクスと私は下の景時さんを見て笑った。

「ぇ??」

それに景時さんは面白いくらい慌てて、

「わぁっっ!!」

「うわっっ??」

私を見上げていた景時さん、一方私は彼を見ていた。
落ちる瞬間に唇と唇とがぶつかって――――地面に落ちた私の顔は真っ赤になってしまっていた。

顔が・・・・・・・・・暑い。
ゆっくりと前を見ると、景時さんは照れたように笑って・・。

「・・・驚かせてごめんね?」

ただの事故だと思えば忘れるのは簡単・・・だと思う。

「ううん。だ・大丈夫。」

キスなんてしたことがある・・・でも不意打ちは苦手。

「望美ちゃん。」

「なぁに?」

そして、そっと・・景時さんは私を抱き寄せる。

「・・・・・・大好きだよ。」

「私も。」

本日二度目のキスは一度目の間違いを正すようにやわらかかった。
そして、私たちは息が苦しくなるまでそのままでいた。






「ねぇ・・望美ちゃん・・・・・・本当にオレでいいの?」

「そうだよ。何回言っても、指輪を私が受け取っても信じられないの?」

「いや・・・・・何回も確認したいだけ・・かもね〜」

私は微笑んで応える。知っているよ と言う意味を含めて。
それは夕暮れの帰り道で、仲良く並んで。まるで子供みたいに手を繋いで・・私の左手と景時さんの右手は・・確りとつながっている。

いい日だったな・・・・・・・・
私は伸びる影を見ながらそうおもった。

空には1番星が一つ・・・・・・
そっと二人を見ていた。


「兄上?!・・望美もなんて格好・・・」

屋敷に帰った私たちを待ち受けていたのは朔。
葉っぱだらけの私たちを見て深いため息をついた。

私と景時さんは顔を見合わせて笑う。

「もう!!笑って誤魔化さないで・・はぁ・・」

「二人とも・・・・しょうがないんだから。」

朔はそう言いながらも、笑う。



Fin.

あとがき。

あっくんの次はとっきー、飽きないやつです。
ただ指輪を渡す。っ手言うのを書きたかっただけなんです。
きっととっきーは・・うん指輪をはめる指を間違えているでしょう。でも神子は何も言わないんです。
そんな、彼が大好きだからですね・・・・
わーーーはすかし。
あと。。他にもネタが・・・あるのです。

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